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池野:
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2014年のナイトハーベストにきてくださったんですよね。あの時はありがとうございました! 楽しかったですね。夜のブドウ収穫は初めてでした?
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鈴木:
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ナイトハーベストどころかブドウの収穫自体が初めて。星や月も綺麗な夜でしたよね。星の見え方も畑の形状のせいかプラネタリウムのように円形に見えて。摘んでいるときにブドウをたべてみたら、美味しくてびっくりしました。ワイン用のブドウって食用にてきしてないからワインにするのだとばかり思ってました。
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池野:
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美味しいブドウでないと美味しいワインできないんですよ(笑)。
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鈴木:
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摘んでいるうちにだんだんブドウが可愛くなっていって。丹誠込めて造っていった話を聞いていたので、これがこんな風に綺麗に実を結ぶんだな、って感動しました。
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池野:
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収穫前に傷んでいる粒をひと粒ひと粒数ヶ月に渡って時間をかけて取り除いているんです。収穫の時はハサミをいれるだけにしているんですよ。結構がんばっています(笑)。ところでワインはよく飲まれますか?
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鈴木:
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山の中では飲むことは少ないのですが、下山するともうワインに限らず(笑)。昔はワインの詳しい人が勧めてくれるものだけを飲んでたんです。それが取材でカナダ、ニュージーランド、アメリカのポートランドあたりのワイナリーにもいかせてもらったりするうちに、「あ! 日本酒と一緒で地元で飲んだ方がおいしいのかな」って、思うようになりました。
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池野:
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カナダといえば、確か初めてトレッキングに目覚めた場所でしたよね。
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鈴木:
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日本にいたカナダ人の友人が帰国する事になったので、ふたりで3ヶ月間のカナダ横断の旅にでたんです。
西から横断しているうちにロッキー山脈にいき着いて。カナダは山頂まで行くには技術のあるクラィマーしかいけません。当時山登りしてなかった私には到底ムリ。でも、森のなかを歩くとか、湖を周遊するようなトレイルは沢山あるんです。公共機関が発達してないので「じゃ、次に泊まるところまで歩いていこう」となったりして。ロッキーの周辺は観光地で、老夫婦や子供も歩いてるし、友達はカナダ人なのでそういうのに慣れてるんです。そこで私、ちょっとした雪の斜面が滑って登れなかったんですよ。こんなこともできないんだって、衝撃だった(笑)。これまでもやったことなかったし、運動音痴だし。それでも頑張っているうちに、歩き遂げられたりしたんですよね。「できた!できた!」というのが楽しくて(笑)。
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池野:
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成功体験が積み重なって、どんどん楽しくなって今に至ったんですね。でも運動音痴だったんですか?
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鈴木:
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子供の頃から体育の授業が嫌いで100mを何秒で走るとか、人と比べられるのが嫌だったんです。だから運動をしなかった。体を動かして一生懸命に力を出し切ったことがなかった。それができたのがカナダの体験だったような気がします。単純に気持ちがよかったんですね。すぐ眠れるとか、お腹が空くとか。実は自分は運動をしたかった、体を疲れさせたかったんだなぁ、というのが分かって。
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池野:
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24歳にして初めて体を動かした。カナダで(笑)。
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鈴木:
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そう! 我慢をしなかった、というのかな。
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池野:
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我慢ですか?
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鈴木:
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それまでは本当はやりたいけど比べられるから運動しなかった。いままで我慢して押さえ込んでいたものが人の目がなければできるんだと思ったんですね。
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池野:
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コンプレックスになっていたような。
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鈴木:
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今もありますけど、今は笑われてもいいやと思いますけど若い時はすごい恥ずかしかったんです。
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池野:
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コンプレックスを乗り越えたときの達成感が山の美しさと重なって、気がついたらこの道に進んでいたという感じかしら?
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鈴木:
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そうですね。カナダから帰国したときになにが恋しいか、といったらその経験だったんです。
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池野:
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それは山ではなくていけなかった。
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鈴木:
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人目がないというのが私にとってよかったんです。
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池野:
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以来、山ガールの火付け役とまでいわれるようになってますよね(笑)。
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鈴木:
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それは後からくっついてきたことで、もちろん若い女性にも山に来てほしいと思って10年くらい山岳雑誌の読者モデルやイラストレーターとして仕事はしてましたが、別に山ガールブームの火を付けたということは思い当たらないんですけど(笑)。
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池野:
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山ガールという言葉がではじめたのはいつ頃からでしたっけ。
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鈴木:
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2008年くらいからで認知されたのは2009年くらいだったと思います。
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池野:
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山ガールの雑誌もその頃創刊されたりして。
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鈴木:
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そのお陰もあるでしょうけど、その前に1997年から始まったフジロックが定着してテント泊する人が増えてきたり、富士山ブームがあって山道具買って使わないともったいないな、と思う人がたくさんいたんですよね。女性では自分磨きブームだったんです。2000年以降ヨガが流行り、その後マラソンブームになり、どんどんストイックに自分に向かっていった。
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池野:
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なるほど。その次のステップとして山があった。
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鈴木:
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もっと深く、もっと自然の中にいたいという感じですね。その時代の流れとマッチしたのかなと思っています。
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池野:
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おもな年代としてはいくつくらいですか?
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鈴木:
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今回のブームでいうと30代が中心ですね。独身の都心部の働く女性。
やっぱりストレスが溜まっていて、自分のお金は自由になるけど時間はない層ですね。
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池野:
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今はもっとストイックになってたりします?
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鈴木:
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かもしれません。雪山とかクライミングとか、あまり怖さがないみたいですね。私が山を始めた頃、まだ十何年ですけど雪山は経験を積んでから、クライミングするんだったら縦走やテント泊できるようになってから、という風潮があったんですけど、今は一年でもうポーンと行っちゃうんです。
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池野:
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それって危なくないのかしら?
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鈴木:
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若いから結構できちゃったりするんですけど、周りにあまり経験者がいずに始めているのは怖いな、とは思います。
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池野:
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みきさんは雪山もクライミングもされすけど、ほかにも低山や高山、沢登り、いろんな山の楽しみ方をされていますよね。最近も登山専門のツアー会社でネパールでのトレッキングツアー引率されてましたね。
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鈴木:
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今回は9日間でした。日巡りがよかったのでネパールに行けたのですが、参加者が働いている層なので5日間くらいが限度なんです。だから海外登山となると行き先が数カ所に絞られちゃう。お客さんに以前、「旅費より休みのほうが大きい問題」と言われて以来、海外のツアーは長期連休を逃さないよう企画だけは出しています。
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池野:
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ネパールといえばエベレストのような8000m級の山々を想像するんですけど登山の技術は必要ですか。
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鈴木:
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そんなに高い山に行くわけではないのでいらないです。日本の登山の方がむしろ難しい。私は全体を見守っているのと仲間を作るお手伝いをしているくらいです。それも最初の1〜2日くらいでみんな仲良くなっちゃうので3日目くらいからは蚊帳の外で、フツーの添乗員。「何時にここ! 」くらいの(笑)。
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池野:
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では危ないところに行かないのですね。
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鈴木:
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ツアーでは難しいところはやらないようにしています。
かさばらないので便利!タオルではなくて手拭い派。 「ヘッドライトはいくつあってもつい買っちゃう(笑)」。
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池野:
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私は山登りしないのでなにが難しいのかがよく分かってないんです。
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鈴木:
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ツアーは団体ならではの難しさがありますね。たとえば難度の高い北アルプスの稜線では十数人見ていられないんです。何かあったときに一人についてしまうと他の人はどうしたらいいの、となる。ほかのツアーでは沢山あるけど私のツアーではやらない。私が責任持てる自信がないのでやりたくないんです。
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池野:
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基本的に山は自己責任というのをよく山関係者から耳にしますけど。
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鈴木:
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それもツアーで行くのと個人で行くのとは少し差があるかも。でも一緒に行くからには仲間なので、誰かが落ちてそれを放っておく事はできないですよね。
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池野:
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山に登っている人たちの話を聞くと結構ドライだと感じる事があるんですよね。
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鈴木:
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厳しい登山をしている人は自分も危険にさらされるので、そういうのもありますよね。私のツアーでは、なにかあったときにみんなで助け合える関係を築きたいと思っています。それに誰でも参加できるツアーにしたいんです。私が運動神経がなくても誰かに連れて行ってもらったらできたように、初心者でも行けて、もちろん経験者も楽しめるツアーを作るように心がけています。自信のない人にこそぜひ来てもらいたいです。絶対連れて行きます!
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池野:
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心強い! 国内でも尾瀬とか行ってましたよね。
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鈴木:
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国内も、あります、あります。尾瀬では雨が降っていて木道で二回転びました。1回は木道から体半分くらい滑り落ちましたよ (笑)。いまだに運動神経がいいわけじゃないのでお客さんも安心するみたいです。
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池野:
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海外ではほかにどこがおススメですか?
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鈴木:
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マレーシアのボルネオ島にあるキナバル山は毎年ツアーを出しています。富士山よりもちょっと高いのでみんなにとってそれも魅力のひとつです。がんばって歩けば着くみたいな。絶景ですね。池野さんも行けますよ!
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池野:
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えっと、私は大丈夫(笑)。
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鈴木:
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4000mの山から下山して、翌日は海に潜れるんですよ。標高差で遊ぶ! それもツアーとしてストーリーとして面白いので。
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池野:
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屋久島みたいで素敵ですね。みきさん…最近は火山の噴火口に夢中だとか(笑)?
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鈴木:
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ここ数年、火山にいくと興奮していることに気付いて(笑)。 火山に詳しいガイドさんと登ったときに地形について説明してくださったのが楽しくって、いまでは毎年そのときのガイドさんと火山合宿をするようになってます。
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池野:
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私のモンペリエ大学にも火山好きの教授がいて、研究室に真っ赤なマグマが飛び散っている火口の写真あって、キラキラした目で日本の火山について質問されたりして(笑)。
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鈴木:
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分かる! 日本にはドロドロ出ている火山は少ないんですけど、行きたいですね。エチオピアにおもしろいところがあるらしくて、噴火口でマグマがグラグラしている横で野宿をして寝れるっていう(笑)。
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池野:
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みきさんのフィールドは広がるばかり(笑)。
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鈴木:
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昨年は火山を含む地形や地質(ジオ)のフォーラムに呼んでいただいて登山とジオの関係などをお話させてもらったんですよ。ちょうどその日にあの御嶽山の噴火があったんです。研究者や有識者がたくさんいたんですけど、話は噴火の事象のことばかり。とても冷静でした。でも私はまず「登山者はどうしているだろう?」と。気になりますよね? 直後で情報が少なかったのもありますが、噴火と登山者をつなげて考えていない印象を受けました。これからはそういったことにも関わっていきたいですね。登山の常識もこの事故で変わるんじゃないかと思います。地震とか火山が怖いっていうのではなくて、どういう仕組みか知って防災につなげてほしいなと思うんです。いつか自分の言葉で山の仕組みをマンガでかけたらいいなと思って勉強を続けていきます。
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池野:
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ぜひ! みきさんはマンガの仕事が一区切りすると山に出かけるんですよね。
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鈴木:
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精魂尽くしてマンガを描いているので机を見るのも嫌になって、遠くに出ちゃいます。海外行っちゃったりとか。
最近は山に登っても慣れてきて、疲れなくなっちゃったりするのでより激しい登り方を求めたりして(笑)。疲れないといろんなこと考えてしまうんですよね。だから今は長い縦走とか、負担をかけて疲れたい(笑)。
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池野:
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あらら。タイヘン。
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鈴木:
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たぶん最初に得た快感を得たいんじゃないかな? 全員ではないけどみんなそれを求めて厳しいほうにいくんです。多くの人が気付かずにそうなっている気がします。
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池野:
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疲れないというのは筋力がアップするせい?
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鈴木:
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歩き方が慣れてくるんです。こうすれば疲れないとか。力が抜けるんでしょうね。一年に一度くらいでいいんですけど、私の場合は。
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池野:
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今だとどのあたりで負荷かけましょうか?
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鈴木:
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昔は北アルプスの岩稜が好きだったんですけど、今は長く歩くほうにいってますね。ずっと歩いていたい。明日もまた歩けるんだと思うと嬉しくって。本州で長く歩くなら南アルプスがタイプです。
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池野:
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長いってどのくらいのことです?
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鈴木:
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登山道のあるところでは8〜12時間、毎日歩けますよ。
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池野:
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海外には長く歩けるところはある?
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鈴木:
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海外のほうが長くゆったり歩けますよ。景色のいい山腹をずっと歩ける。登山ではないけど巡礼の道とかいってみたいですね。何ヶ月もかけて。
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池野:
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サンディアゴ・デ・コンポステーラみたいな。
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鈴木:
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まさにそう! やってみたいですね。ネパールでもポツポツある村から村へ歩いていくんですけど、車やバイクもなくて馬とかロバがいるところを歩くのも楽しいんですよねー。
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池野:
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ひたすら一日中歩くんですね。
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鈴木:
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長時間でなくてもいいけど、日数を長く歩きたい。4時間でも何週間かかけて。最初がカナダだったというのもあって、山頂に行ってゴールと思えないんですね。それは物足りなくて、その先に見えたところに歩きたいっていうか。
愛用のスケッチブックとマンガを描くときのペン。 著書は9冊。10冊めも進行中。
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池野:
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果てしないゴールって、素敵です。これからのご予定うかがってもいいですか。
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鈴木:
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先ほどお話にもあった登山同行ツアーを年に6回やる予定です。海外はそのうち2回なんですけど、1回は年末年始を利用してキリマンジャロに行こうかと。アフリカにある二本足で登れる最高峰なんです。
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池野:
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二本足の最高峰?
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鈴木:
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手を使うクライミングの技術のいらないという意味で。歩いて登れる最高峰といったほうが分かりやすい? 標高5895mなので高山病さえクリアできれば登山経験者なら誰でも挑戦できます。私も行った事のない高所なのでそれに向けて体作りとか始めたいと思ってます。私にとってもチャレンジですよね。
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池野:
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応援しています! タイミングが合えばまた収穫のお手伝いもよかったらきてくださいね。
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鈴木:
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はい。ブドウも摘みに来ます!
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池野:
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今日はどうもありがとうございました。
1972年生まれ。山梨県八ヶ岳南麓在住。
山に魅せられ山小屋アルバイト、登山雑誌の読者モデルを経て、現在は著書9冊を数える登山系イラストレーター。
鈴木みきサイト: http://wwwameblo.jp/suzukimiki
著書
「悩んだときは山に行け!」(平凡社)
「あした、山へ行こう!」(講談社)
「ひとり登山へ、ようこそ!」(平凡社)
「山小屋で、会いましょう!」(講談社)
「山テント、でわっしょい!極める「山女子」のヨロコビ」(講談社)
「私の場合は、山でした!女一匹フリーター、じたばた成長物語」(平凡社)
「鈴木みきの山の足あと」(山と渓谷社)
「鈴木みきの山の足あと ステップアップ編」(山と渓谷社)
「山、楽しんでますか?」(講談社)