谷口ケイさんについて

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December 23, 2015

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このところのニュースでみなさんもご存知かと思います。登山家の谷口ケイさんが大雪山で帰らぬ人となりました。友人からの連絡で谷口さんの事故を当日知りました。自力で下山する姿を思い描きながら過ごした夜でした。

プライベートで仲良くしていただいていて遠征から戻ってくると玄関に現れ、満面の笑みで「美映さん! ただいまー!」とさっきまでしていたであろう冒険の話をキラキラした眼でしてくれていました。食品の鮮度や品質に拘りがあり、あまりお酒が飲めないケイさんが「本物だ」といって私のワインだけは飲んでくれるのが嬉しくて、いつも遅くまで語り明かしたりしていました。公式サイトで対談ページを始めた時も快く受けてくださいました。谷口ケイの世界を表現するにはあまりに私の文章は稚拙で力不足だったと思います。でもほんの僅かでも彼女の、美しいものしか映さない水晶のような心、その存在をご紹介できたらと思ったのです。

未踏の地に行きたいから行くのではなく、行きたい場所にまだ誰も行っていなかった、見たい、知りたい、感じたい、持ちうるすべての能力で自分だけの力と財力で美しい世界を探しに行ったケイさん。その姿は登山家というより冒険家そのものでした。現に彼女と話していると「冒険」という言葉が数多く登場していました。コンコンと湧き出る泉のような彼女の好奇心、それが源流となって淀むことのない清流のような人生だったかと思います。私はこれほどまでに自由に生きた美しい魂を持った人を知りません。

美しい登攀はそのまま美しい生き方をした美しい人を映し出した作品だったような気がします。

池野美映

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